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住宅の保険補償額、新価と時価は何が違いますか?

火災保険の「新価」と「時価」

火災保険はは火事や自然災害の被害を補償してくれる保険です。加入が義務付けられているわけではありませんが、住宅ローンの利用条件となっていることが多いだけではなく、加入していない状態で火災などに遭うと住む場所を失ってしまうため、住宅ローンを利用しない人でも加入するのが一般的です。

火災保険は補償内容や補償範囲を任意で選ぶことができますが、保険補償額の算出方法には「新価」と「時価」の二通りがあり、どちらを選べばよいかわからないという方も多いようです。

今回は、住宅の保険補償額の新価と時価の違いをご紹介します。

保険補償額を決める「保険価額」

建物や家財は時間の経過とともに価値が下がるため、補償額を決める時は保険の対象になる物品の金額を評価し、その評価に基づいて補償額を決める必要があります。この補償額を決めるための基準となるのか「保険価額」です。

火災保険や地震保険を決めるときは「補償額の上限はいくらか(保険金額)」を気にする傾向がありますが、保険金額が高額であっても保険価額が低いと十分な補償を受けることができません。

 

例えば、保険金額が5000万円でも保険価額が3000万円であれば3000万円を基準に補償額が決まります。

その反対に、保険価額が5000万円以上で計算上の補償額が5000万円をこえるという場合でも保険金額が5000万円であれば5000万円しか受け取ることができません。

 

補償内容を決めるときは、補償額の上限となる「保険金額」と、保険金額を決める基準となる「保険価額」の両方を考慮する必要がありますが、この保険価額を決める評価基準となるのが「新価」と「時価」という考え方です。

「新価」と「時価」の違い

新価は、被害を受けた建物と同等のものを再築・再購入するのに必要な額のことで、同じものをもう一度調達するために必要な額であることから「再調達価額」とも呼ばれます。

時価は、経年劣化や老朽化などによって価値が減少することを考慮し、新価から消耗分を差し引いた額となります。

 

例えば、10年前に3000万円で購入した家が全焼した場合、新価であれば同じ規模の家を建築・購入するために必要な額が保証されます。10年前は3000万円で購入できた規模の家が現在は4000万円ないと購入できないという場合、4000万円を受け取ることができます。

時価の場合、新価で受け取れる4000万円から10年の価値減少分を差し引いた額が補償されます。10年で住宅の価値が1000万円下がっていたとすれば、受け取れる額は新価の4000万円から1000万円を引いた3000万円となります。

まとめ

新価と時価を選ぶ場合、可能な限り新価を選ぶことをおすすめします。時価は時間が経過するごとに受け取れる保証額が減ってしまうため、築年数が経った家では十分な補償を受けることができず、生活の再建が困難になる可能性があるからです。

ただし、新価を選んでいても保険金額の設定が保険価額を下回っていると十分な補償を受けられません。保険金額と保険価額を同程度に設定しておけば掛け金を損したり、補償不足になったりするのを防げます。

また、火災保険は新価か時価かを選ぶことができますが、地震保険は時価のみとなっているため注意してください。

 

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