水が溜まりやすい「釜」、土砂崩れを意味する「蛇」など、地名から分かる水害のある土地。
地名に歴史あり
地名には過去どのように使われてきたか、どのようなことがあった場所かがわかるような言葉や字が含まれていることが少なくありません。なかでも、災害に関する地名は現在のハザードマップのように「命を守るための情報」として受け継がれており、土地を探すときは地名を意識するとよいといわれています。
水害のある土地の地名にはどのような特徴があるのでしょうか。
牛・蛇・竜は特に注意
牛は古くから水田を耕す使役動物として使われてきました。そのため、牛がつく地名は水田として使われてきた土地である可能性が高く、現在でも水に浸かりやすいといわれています。
また、古来より水神として崇められてきた蛇や竜(龍)がつく地名は、「水神が荒ぶったところ」など、大きな水害や土砂崩れなど悩まされてきた土地であったり、元湿地や川など水がたまりやすい土地であったり、水に弱い土地である可能性が高いといわれています。
沢・淵などさんずいの字
沢、淵、灘、沼、深、渋、津など、さんずいの漢字がつく地名は水に関する由来を持つことが多い土地です。沢や淵、池、河(川)などは水辺、灘、波(浪)、津は海辺を指しています。海や河川などから離れているのにこれらの字が使われている場合、過去に河川の氾濫や津波被害を受けた可能性があります。
「渋」や「深」は水とあまり関係がないように思われますが、「渋」には「とどこおる」という意味があり、水がたまる場所を意味します。「深」は周囲よりも低い土地のことですので、やはり水がたまりやすい土地といえるでしょう。
また、さんずいではありませんが「須」は、水に押し流された土や砂などがたまってできる「洲」と同じ意味です。
荻・鷺など水辺の動植物
荻、芦、鷺、鶴、鮎、亀など水辺の動植物が含まれる地名は水辺や湿地だった場所、水害で土地が「裂かれた」「噛まれた」など崩落が起こった場所である可能性があります。
音にも注目
「草」は水とは無関係に思えますが、「腐る」のクサが由来となっており、土が腐ったように柔らかい湿地という意味であったりします。
「釜」「鎌」も水害によって噛まれて出来た土地という意味でカマが使われているということがあります。
さらに、ガケから転じてできたノゲ・カケ・カゲ、えぐれた土を意味するクラ・クレ、激しい波を意味するオナなどは「野毛」「掛」「倉」「女」「小名」などの字があてられています。「桜」のように音の一部に含まれるケースもあるので、字だけではなく音にも注目するとよいでしょう。
まとめ
水は洪水や大雨、津波などの形で多くの人命を奪ってきましたが、多くの命を育み生活を豊かにする糧でもあります。
そのため、水にちなんだ地名は数多く存在し、数え上げるとキリがないというのが実状です。また、水にちなんだ地名であるからと言って、必ずしも水害があった、水害に弱いとは限りません。
さらに、現在は治水工事も進んでいることから安全になっている土地も数多くあります。過去に水害があったとしても現在危険であるとは限りません。
地名はあくまでも参考程度に考えておき、現在の危険度はハザードマップで確認するとよいでしょう。