一覧に戻る

建築で縁を切るとは?縁を切ることの重要な役割には何がある?

「縁を切る」とは

「縁を切る」というと一般的には関係や音信を一切断つという意味で使われますが、建築用語の「縁を切る」は性質の異なる二つの部材や建物同士がお互いに影響しないよう隙間を作ったり、間に別の部材を挟むことを指します。

例えば、壁と床の接合部は直結しておらず隙間が開いています。これは施工の失敗ではなく意図的に作られた隙間で、このような状態にすることを「縁を切る」といいます。ではなぜ縁を切る必要があるのでしょうか。

熱・音・振動の伝導防止

縁を切ることの役割の一つは、熱・音・振動の伝導を防ぐことです。

例えば、床と床下を通る排水管が直接連結していると歩いた時のにおこる床の振動が排水管に伝わり、排水管が破損する原因になる可能性がありますが、床と排水管の縁を切っておくと振動が直接伝わらないため、排水管の破損を防ぐことができます。

壁や床の下地と仕上げ材の間に断熱材や吸音素材などを挟むのも縁を切ることの一つです。仕上げと下地が直接連結しないことで熱や音が伝わるのを防ぐことができます。

伸縮による負担軽減

木材や金属、コンクリートなどは熱や湿気によって伸縮するため、部材同士が直接連結していると伸びた時は部材同士が押し合い、縮んだときは部材同士が引っ張りあってしまいます。そのため、負担がかかった部分が歪んだり亀裂が入ったりします。

縁を切っていると部材間に隙間ができるため、伸びても押し合うことがないだけではなく、縮んだときに部材同士が引っ張り合うということもありません。伸縮による負担がなくなり、歪みや亀裂が生じるのを防ぐことができます。

亀裂防止

伸縮や経年劣化、地震などが原因で部材に亀裂が入った場合、部材同士が直接連結していると連続的に亀裂が入ることがあります。縁を切っておくと隙間部分で亀裂が途切れ、亀裂が広がるのを防ぐことができます。

まとめ

一つの家には金属、コンクリート、木材、ガラスなど種類の異なる様々な素材の建材が利用されます。それぞれ硬さや伸縮性、熱による膨張性などが異なるため、直接連結していると負担がかかって歪みや亀裂が生じる原因となります。

直接連結せず隙間を作ったり緩衝材となる素材を挟んだりするなど縁を切ることで、部材にかかる負担が軽減されて家の寿命が長くなります。

また、縁を切ると熱・音・振動の伝導を防止できるため、防熱性、防音性、防振性といった住宅機能も向上することができます。

 

そのほかの「よくある質問」はこちら