住宅ローンの一括返済のメリット・デメリットとは?
住宅ローンの一括返済のメリット・デメリットについてご説明します。
住宅ローンの一括返済はお得?
「住宅ローンは一括返済したほうが得です」という話は、インターネットなどでも良く見かける話題ですが、本当に一括返済はお得なのかでしょうか?
具体的な金額の例を挙げながらご説明します。
一括返済のメリット
一括返済のメリットは、何といっても総支払額を安くできることです。
例えば、住宅ローンの当初借入額が2000万、金利は2%の固定金利、支払い方法は全期間で支払額の変わらない「元利均等」で35年ローンを組んだとします。
繰り上げ返済を一切行わい場合は、総支払額はおよそ2780万円です。
しかし、支払い開始から10年目で一括返済を行うと、総支払額はおよそ2360万円となり、なんと420万円も安く済ませることができます。
これは、支払い開始10年目の時点で完済してしまうため、残り25年分の利息を払わなくてよくなるからです。
また、住宅ローンを利用する際に払った「保証料」を一括前払いしていた場合は、その一部が返ってきます。
そしてなにより、住宅ローンを今後払わなくてよいという心理的な余裕が生まれること、ローン完済で抵当がはずれるということも大きなメリットです。
一括返済のデメリット
一括返済には、メリットだけでなくデメリットもあります。
住宅ローンには4000万円まで(認定長期優良住宅の場合は5000万円まで)であれば、借入開始から10年間、年末の借入残高の1%が所得税と住民税から戻ってくる「住宅ローン減税」という制度があります。
借入残金が多いほど返ってくる金額も大きくなるため、住宅ローンの利率が低い場合は一括返済や繰り上げ返済を行わないほうがお得なケースもあります。
また、一括返済は多額の現金を一度に消費してしまいます。
例えば、1000万円の退職金で900万円の住宅ローンを一括返済した場合、手元に残るお金は100万円だけです。住宅ローンが無くなって月々の出費は減りますが、年金支給開始までの期間をしのぐ資金としてはかなり不安です。
住宅ローン利用の際に加入した「団体信用生命保険」は、住宅ローン完済と同時に契約終了となります。この保険は、住宅ローンの契約者が万一死亡したときなど、住宅ローンの残高に関わらず保険会社が全額返済してくれるというものです。
つまり、住宅ローンがある状態で住宅ローン契約者が死亡した場合、住宅ローンは完済されて手元に資金も残りますが、一括返済を行った直後に死亡してしまった場合は、手元に資金がほとんどない状態になってしまいます。
まとめ
住宅ローンの一括返済には、メリットもデメリットもあります。利率やタイミングによっては損をするケースもあります。
一括返済をするとお得だという言葉に惑わされず、メリット・デメリットをしっかり理解してから、住宅ローンの一括返済を行うようにしましょう。