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サッシ(窓枠)で部屋の温度が変わる!?窓の省エネ建材等級とは?

熱貫流率で決められる省エネ建材等級

省エネ建材等級は2008年4月から導入された経済産業省の省エネラベリング制度です。窓の内と外の温度差が1℃あるとき、住宅の窓ガラスやサッシが単位時間あたりにどの程度熱を通過させるかを表す「熱貫流率(U値)」で断熱性能を判断し、その数値によって4等級に区分しています。熱貫流率が低いと断熱性能が高く、省エネ建材等級も高くなり、ラベル上では塗りつぶされた星の数で表示されます。

 

以前は「ガラス」「サッシ」「窓」があった

窓は大きく分けてガラスとサッシの二つで出来ており、それぞれの構造や素材によって性能が異なります。このことから、省エネ建材等級の表示ラベルは「ガラス」「サッシ」「窓」の三種類が存在しており、断熱性能の判断がしづらいという状態でした。

しかし、2010年に住宅の「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」が改正され、2011年から「ガラス」と「サッシ」の省エネ建材等級の表示ラベルは廃止され、ガラスとサッシを合わせた窓全体の断熱性能が判断できる「窓」のみに一本化されました。

2022年現在、窓の省エネ建材等級は以下のように定められています。

 

等級

熱貫流率

4

2.33以下

3 2.33以上3.49以下
2 3.49以上4.65以下
1 4.65以上

 

省エネ建材等級だけで判断しない

省エネ建材等級は窓の断熱性を知る基準となりますが、最高等級である2.33以下という数値は世界的に見て非常に低い値だといわれています。

例えば、ドイツでは窓の熱貫流率の基準は1.3ほど、アメリカ北部では1.7〜1.82、イギリスでは1.8ほどです。

また、等級4の基準となる「2.33以下」という数値は幅が広すぎるのも問題です。

例えば、熱貫流率2.33と3.33では数値の差が1.00あり、等級は4と3となりますが、熱貫流率1.33と2.33では数値の差は2.33と3.33と同じ1.00であるのに、等級はどちらも4です。

つまり、一口に等級4といっても、その中には世界的な基準に適合する性能を持つ窓ともたない窓があり、かつ、熱貫流率の数値を比較すると等級一つ分の差がつくこともあるということです。

そのため、等級だけで判断すると期待していたような効果が得られない可能性があります。寒冷地など、高い断熱性を持つ窓を求めている場合は等級だけではなく熱貫流率の数値に着目して選びましょう。

 

JIS等級も参考に

窓を選ぶときは省エネ建材等級だけではなく熱貫流率の数値を見て選ぶのがベストですが、ラベルに数値を表示するかどうかは任意であるため判断できないことがあります。

このような場合、JIS等級も参考にして総合的に判断してみてもよいでしょう。

なかでも、素材によって熱伝導率が変わるサッシの性能は断熱性を考えるうえで特に重要です。サッシの断熱性を区分したJIS等級は以下のような基準となっています。省エネ建材等級4の窓で、より高い断熱性能を求めるのであればH-6のサッシを選ぶとよいでしょう。

 

等級

熱貫流率

H-1

4.65

H-2

4.07

H-3

3.49

H-4

2.91

H-5

2.33

H-6

1.9

 

まとめ

省エネ建材等級は窓の断熱性能を判断する基準の一つになります。しかし実際は、省エネ建材等級だけでは判断が難しいことも多く、数値や他の基準なども照らし合わせて考える必要があります。

また、窓の大きさや場所、地域によって必要な性能は異なりますので、業者と相談しながら選ぶとコストを抑えながら最適な性能を持つ窓を選ぶことができるでしょう。

 

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