カーブや直線、斜めなど、玄関上がり框(かまち)の 形や高さでみたメリットとデメリット。
上がり框とは
上がり框とは玄関にある土間部分と屋内を分けるようについている段差のことです。靴を脱ぐ習慣がない国の住宅ではほとんど段差がないことがあるのですが、日本住宅では段差がはっきりしており、特に古い戸建て住宅では高い上がり框がついていることがあります。
上がり框は高さや形によって受ける印象が異なるため、玄関作りのこだわりポイントの一つですが、形や高さで変わるのは見た目の印象だけではありません。
今回は、上がり框の形や高さでみたメリットとデメリットを紹介します。
高い上がり框
高い上がり框は玄関と屋内を明確に区切ってくれる心理的・視覚的効果が高いだけではなく、土間部分にたまりやすい土埃などが屋内に入り込むのを防ぐ効果があります。そのため、農家や雪国の家などは上がり框が高めに作られていることが多いようです。
また、上がり框が高いと座った状態で靴の着脱ができるのもメリットの一つです。ブーツをはくときや靴ひもを結ぶときに便利です。
しかし、上がり框が高いと玄関の出入りに負担がかかる、靴を揃えるときに深く屈まねばならないというデメリットがあります。高齢者や小さな子どもが利用しにくいだけではなく転倒や転落の可能性もあります。手すりや式台を設置することでデメリットはある程度解消できます。
低い上がり框
上がり框が低いと高齢者や小さな子どもでも安全に負担なく出入りすることができます。特に、ほぼ段差がない10mmや20mmの上がり框であれば車椅子でも利用しやすく、バリアフリー住宅に最適といえます。頭から転落するなどの心配がないため、靴を揃える習慣を子どもに身につけさせやすいのもメリットでしょう。
しかし、腰かけて靴の着脱をしたい場合、上がり框が低いとかなり不便に感じます。玄関スペースにベンチを設けることで対処可能ですが、玄関が狭くなる、余分な費用が掛かるなどの問題が起こります。
また、上がり框が低いと土埃などが室内に持ち込まれやすく、掃除もしづらくなるといったデメリットがあります。雪や雨が多い地域にはあまり向いていないかもしれません。
直線の上がり框
土間部分と屋内を真っ直ぐに区切る直線の上がり框は落ち着いた印象があり、風格や重厚感を出したいときに最適です。純和風や和モダンの住宅との相性が良く、オーソドックスなタイプなのでなんとなく安心感があります。
また、土間と屋内の境界部分は直角になるのが一般的なので、角の部分を掃除しやすく、下駄箱などの配置の自由度が高いのもメリットの一つです。
ただし、個性が出しづらく、素材などによってはやや古臭い印象になったり、厳めしい印象になることがあります。
斜めや曲線の上がり框
斜めや曲線などの上がり框は空間を個性的に見せる効果があるだけではなく、直線の上がり框に比べると境界が緩やかな印象になることから優しくて親しみやすい印象になります。
また、直線に比べると辺が長くなるため、二人並んで靴の着脱ができるといったメリットもあります。
しかし、形によっては掃除がしにくくなったり、下駄箱などを置けるスペースが限られたりといったデメリットがあります。土間部分の広さや間取りによっては段差が原因でデッドスペース化することもあるため注意が必要です。
まとめ
上がり框は、高さや形によってそれぞれ異なるメリット・デメリットを持っています。見た目のイメージだけで選ぶと失敗しやすいので、家族構成やライフスタイル、間取りなどに合わせて選ぶとよいでしょう。